「さっきの質問の答えを言おう。ここに僕がいる理由は、君の覚悟を確認するためだ。半端な気持ちで裏世界に手を出されたんじゃ、一般人を巻き込んだって〝ケチ〟つけられるのは僕らだからね。

確認して正解だった。
君には、まるで覚悟がない。

このままでは咲人は死ぬだろうね。きっと今頃、紫吹と対峙している頃だ」

「!」


容赦ない言葉が、土砂降りの雨となって降りかかる。

悔しくも反論できないでいると――本気で飛鷹さんに襲われかけた日を思い出した。


『四の五の言わず、黙って俺に抱かれてくんねぇ?』
『~っ、やだ!』


あの時、私は無力で、何の抵抗もできなくて。もし飛鷹さんが本気だったら、間違いなく抱かれていた。


『悔しい。今すぐ立ちあがって、あなたをボコボコにしたい……っ』


あの日、私は自分の弱さを思い知った。
噛み締めた、後悔した。
なんて無力なんだと、絶望した。

それは、今日も同じ。
私は、あの日の私のまま。

一か月前、リズ組に声をかけられた時から。
少し前、飛鷹さんに襲われそうになった時から。
さっき、リズ組に攫われそうになった時から。

何も、変われていない。