「ふぅん」と。雪光さんは白いスーツを纏った長い足を交差させた。それでも充分なゆとりがあるほど車内は広い。

だけど隣にいる雪光さんの圧が強すぎて、かなり狭く感じる。発せられる重圧が肌に当たる度、針にさされる感覚だ。


「〝関係なく咲人が好き〟ねぇ。それなら裏も表も関係なく、咲人を救うことだ。表の世界で迷子の子供を助けるように、裏の世界で紫吹から咲人を救ってみてよ」

「!」

「おや?顔色が変わった。裏も表も関係ないと言ったのは君だよ。咲人を救う勇気すら持てないなら、君は言葉だけのただのガキだ。

足が動かないなら周と車を降り、大人しくおんぶされてホテルに戻れ」

「~っ」


図星だった。自分のイヤなところを突かれ、暴露され、とんでもなく恥ずかしくなった。

さっきは飛鷹さんに「連れて行って」と大口をたたいたくせに。蓋を開ければ、私は何の武器も持っていない。