「見張り役を頼まれはしましたが、ずっとココにいろとは言われてないので。いったん私は失礼します」

「ゲェ、俺また一人ぼっちじゃねぇか」


自由になった手を、頭の後ろで組む男。立ちあがった今なら、よく分かる。この人やっぱり背が高い。

っていうか忘れてたけど、どうしてこの人、拘束を解けたんだろう。あの拘束具からするに、両手は少しも動かせなかったはず。

つまり、タダモノじゃないってこと?


……って、そんなの当たり前か。咲人さんが自ら捕まえ監禁するくらいだし。きっと危ない人なんだ。……危ない発言をする人でもあるけど。


「用がある時は呼んでください。私は、この部屋の前にいますから。はい手を出してください、もう一度拘束です」

「え~冷てぇ。可愛いだけの女かと思ったら、そうじゃねーのかよ。アイツの目を盗んで仲良くやろうぜ、ミミちゃん?」

「その名前で呼んでいいのは咲人さんだけです。さようなら」


バタン、と閉められたドアの向こうから「つれねぇなぁ」って笑い声が聞こえる。とても拘束されている身だとは思えない。楽観的すぎる。