「あなたに……言いたいことがあります」

「中で聞こうか。こっちにおいで」

「……失礼します」


私が乗り込む間、飛鷹さんも今の運転手と交代していた。「あっちに金髪のリズ組が転がってるから遠くに捨ててこい」と飛鷹さんに言われ、元運転手は、私たちが来た道を走って戻っていく。

ブルル、と。慣れた手つきで車を運転する飛鷹さん。目的は既に決まっているらしい。いかにも高級車らしい、少ない振動で走り始める。


「さて。初めましてだから自己紹介と行こうか。といっても、君の素性は知れている。ミミ、と呼んだ方がいいかな?それとも、まほろ?」

「ミミで、お願いします。あなたは、えっと」


さっきの昔話は飛鷹さんが〝秘密裏に話してくれたこと〟かもしれないから、私が雪光さんのことを知っていたらまずいよね?と、慌てて口を閉じる。

だけど雪光さんは「部下の事は全て把握しているから安心して」と、含みのある笑みを浮かべた。

対して、苦い顔を浮かべたのが飛鷹さんだ。顔に「ヤバい」と書いてある。


「そう青ざめないで、周。
さてお嬢さん、急だけど問題だよ」

「問題?」