今、この人……なんて言った?

私に欲情してるって言った?
私を抱くつもりって言った?


「なんで?」

「んなの決まってんだろ。かわいーから」

「……信用できません」

「ずいぶん自分に自信がねぇのな」


残念そうというよりは、意外という顔をする男。しまいには「こんなにかわいーのに」なんて……誰が聞いてもわかる冗談を言った。さすがの私も、お世辞だと分かる。

だって「自分に自信がない」って……当たり前じゃん。自信があるようなナイスバディな女だったら、とっくに咲人さんの彼女になれてるもん。


「私は幼児体型だし、欲情なんて無縁の話じゃないですか」

「無縁じゃねーよ。だって欲情してる奴が、ココに一人いんじゃん。俺がアンタを抱きたいんだっての」

「……ウソですね」

「えー」


飄々とした物言いから、本人の意思を全く感じない。つまり、この人は本気じゃない。

本気なら、もっと、こう……なんかあるはず。ムードっていうか、そういう雰囲気を醸し出すはず。

それが全くナイもん。皆無だもん。つまり、この人の話はウソ。