近――と思っている間に、ゴツゴツした手が私の腰をさらう。苦しいほど抱きしめられ、思わず漏れる声。


「や、めて……っ」

「おっと。あぶな。危うく絞め殺すところだった。もっと肉くえよなー。細すぎ」


僅かに拘束が緩くなる。その隙を見て、これでもかと男の胸板を押した。


「離れて……!」


だけど押せども押せども、男はビクともしなくて。しまいには私の方が疲れてしまい、男の腕の中で息を上げる。

酸欠で、男の胸に力なくもたれた私。その腰を引き寄せ、男は口角を上げてニヤリと笑う。


「あーあ、こんな所に連れて来られて。かわいそー」

(この顔……)


この顔、見たことある。知ってる。だって、ついさっき私も同じ顔をしたから。