「知らねぇよ。でも今までだんまりを決め込んでた警察が、さすがに見て見ぬふり出来ねぇと思ったらしい。

リズ組の本部を立ち入り調査をさせろって、最終通告を送ったとか。やっと警察も本腰入れたんだろ」


でも本部に女を隠すとは思えねーけどな、と。

吐き捨てた飛鷹さんは、くわえタバコを乱暴に携帯灰皿に押し込んだ。私をおぶってるのに器用な人だ。


「ってかさ、人の心配してどーすんの」

「え」


飛鷹さんが、流し目で視線を寄こす。


「紫吹の部下がアンタを狙ったってことは、紫吹がアンタにツバつけたって事だ」

「え、でも飛鷹さんが助けてくれたじゃないですか……」

「さっきも言ったろ。紫吹に目をつけられたら最後。女は掴まり、帰って来られねぇ」

「つまり私は〝誘拐されるまで狙われ続ける〟って事ですか?」

「ポンピーン」

「ッ!」