「マンション出たところを襲われたんだよな?なんか言ってたかよ?」

「えぇっと……」


怖い記憶を、少しずつ掘り起こす。

目を開けると、さっきの光景が蘇ってきそうで。瞼を閉じたまま喋り続けた。


「私を一か月ずっと探していたって。カシラが待ってるって。あと、咲人さんがいると厄介とも言ってました。どうやら私が咲人さんから離れるのを、ずっと待っていたみたいです」

「は~、ビンゴか」

「ビンゴ?」


飛鷹さんは男に近づき、襟元をまさぐる。そして男がひっそり忍ばせていたらしい「小さな何か」を取り出した。


「小型のGPS。同じ場所にとどまってると仲間が怪しんで応援に来るから、今から破壊すんぞ」

「踏んで壊れるものなんですか?」

「だぁれが踏むって言ったよ」


ブンッ――と。飛鷹さんは野球のピッチャーみたく、GPSを遠くへぶん投げた。

あ、踏むんじゃなくて投げて壊すのか――と納得した直後。


「ミミちゃん、一応〝お耳ペタン〟な」

「?」