「どうして家出しちゃったんですか?飛鷹さんのおかげで私……咲人さんのお家を、永久追放されちゃったんですよ⁉」
「え、今その話?」
「今です!!」
キッと鋭い眼差しを向けるも、飛鷹さんは何のその。「興味ない」って顔に書いてある。今にも口笛を吹いて〝とんずら〟かましそうな勢い。
でも……
今すぐ必要な話だよ!
今世紀最大の重罪だよ⁉
「飛鷹さんの裏切り者ー!私の恋を応援してくれるんじゃなかったんですかぁ〜!」
「えぇー、会って早々めんどくせぇー」
大号泣する私を見て、ケラケラ笑う飛鷹さん。感動の再会なんて、あったもんじゃない。
でも飛鷹さんは目を腫らした私を見て、さすがに同情したらしい。ポケットから黒いハンカチを出し、「ん」と渡してくれた。
「今メソメソパン持ってねぇんだよー。だから泣くなよ、な?」
「飛鷹さん……赤ちゃんにおしゃぶり渡す感覚で、私にメロンパン与えてません?」
「ちげぇの?」
「……」
遠慮なく、ハンカチで涙を拭く。