咥えタバコで男に足を乗せたまま、ニヒルな笑みを浮かべている自由人。否、〝裏切り者〟。
「何、してるんですか?」
「あ、ドキッとしちゃった?ピンチを助けられて、ついに俺のこと好きになっちゃった?」
「いえ、なってません」
ピシャリと言うと、飛鷹さんは頭の後ろで手を組んだ。「相変わらずつれねーなぁ」と、カラカラ笑っている。
ピンチを助けてくれたのは本当に有難い。既に気絶した男は、飛鷹さんお得意の拘束具により縛られている。
改めて男を見ると、飛鷹さんと並ぶほど大柄で。私一人で太刀打ちできるはずもない。
飛鷹さんが来てくれなかったら今ごろ――考えるとゾッとする。だから彼には大大大感謝、なんだけど。
でも私は〝お礼と同じ〟くらい。
飛鷹さんに言いたい事があるわけで。
「飛鷹さん……」
「ん?」