どうすればいいか分からなくて、今にも泣きそうになった私。そんな私に声をかけたのは、咲人さんではなく男の人だった。


「なぁなぁ、おいちょっと。そんな身構えなくてもイイから。泣く女みても興奮しねぇし」

「え……」

「アンタは、気楽にココにいてくれりゃいいんだって。話し相手がいるだけで退屈しのぎが出来るしさー。結構ありがたいんだぜ?」

「はぁ……」


チラリと咲人さんを見る。すると仕事のメールを確認しているのか、スマホを操作していた。自分は蚊帳の外って感じ。

でも、あの、咲人さん。
私、けっこう困っていますよ……?

メールがひと段落ついたらしい。十秒くらい間があって、咲人さんの切れ長の瞳が私をとらえる。