『ミミの〝監視役〟は失敗。
つまり、俺の命令に逆らった』

『次はミミの番だよ。
荷物をまとめて、今すぐココから出て行って』



咲人さんが言った言葉は聞き間違い?夢?……ううん。夢だったのは、昨日の甘い時間のほう。

甘い時間が極上に幸せで、とろけるほど愛しくて――咲人さんの笑った顔、弾んだ声、繋いだ手やキスした感触。全て覚えてる。

あの夢の時間が幸せすぎて、目の前の事しか見えていなかった。だからこそ、暮らし始めた時に交わした約束を、スッカリ忘れていた。


一つ、咲人さんに逆らわない
一つ、学校以外の用事で一人で出かけない


今回おかしたタブーは「咲人さんに逆らわない」こと。飛鷹さんが死なないと知り安心した私が錯覚した、最大の過ち。


飛鷹さんは死なない=裏切り者じゃない


この方程式を勝手に作り「裏切り者じゃないなら監視しなくていい」と勘違いした。心の隙を作ってしまった。


(あれほど気をつけていた約束を、一瞬でも忘れてしまうなんて)