「――み、ミミ」

「……ん?」


目を開けると、私と同じく横になっている咲人さんと目があった。ふと頭の下に違和感を覚える。

視界の端に捉える腕。辿ってみると……なんと。咲人さんが、腕枕してくれていた。


(ずっと一緒にいてくれたんだ……)


二人仲良くベッドの上でお目覚め、なんて。朝から嬉しいサプライズ。

すると咲人さんが笑った。眉尻を下げ、真っすぐ私を見る。

そして――


「飛鷹が逃げたよ」

「……え?」


私の頭に敷いた手を、ゆっくり引き抜く咲人さん。その時間が、幸せが終わるカウントダウンに思える――そう直感出来るくらい、既に表情を改めた咲人さんから、ひんやりした温度を感じる。

昨日の甘い雰囲気は、秒で一掃された。