「具体的には、何を」

「ミミからの報告を聞いて、俺が喜びそうなこと。それをしてくれたらいい」

「それって……」


何だろう。分からない。咲人さんが私に何を求めているのか、全く分からないよ。

グルグル、グルグル。色んな思考が頭を巡れど、コレ!と思う答えは見つからない。

しかたないので手を挙げて降参し、咲人さんに答えを求めた。


「咲人さん、もう少しヒントを……」

「……」


だけど咲人さんは容赦なく、いつものワード「俺に逆らうの?」をいい放つ。これにより一切の発言を、間接的に禁止された。


(自分で考えろって事なんだ。でも慰めるって……)


っていうか。例え案が浮かんでも、それがもし違ったら……。咲人さんは、きっとこう言う。


『こんな報告で、俺が喜ぶと思ったの?』
『コイツを慰められなかったね、命令違反』
『つまり、ミミは俺に逆らったってわけだ』


呆れられる。
もう私に頼ってくれなくなる。
最悪、追い出される可能性だって――


(〝ミミ〟じゃなくなるのは、嫌だ……っ)