「!」


それって、さっき飛鷹さんに襲われそうになった時?


『やだ、やだやだ……、咲人さん……っ』


私の声、この部屋まで聞こえていたんだ!

恥ずかしくなって、顔に熱が集まる。絆創膏を探す手が、情けなくフルフル震えた。


「す、すみません……。ちょっと飛鷹さんと……ケンカして、お互いに熱くなって」

「……俺を呼ぶ声が聞こえた」

「っ!」

「俺に、縋ったの?」


ふわり、と。
背中から感じる、愛しい体温。
攻撃性を感じない、優しい吐息。

咲人さんが、後ろから抱きしめてくれている。


「俺を必要としてくれたんだ?」

「そうです、って言ったら……、」


私には、あなたが必要ですって言ったら。
咲人さん、あなたは、なんて答えるんですか?