さっきの〝うん〟を、新たな「思い出メモ」を追加する。そうしている内に咲人さんが先に立ち上がり、尻もち状態の私に手を伸ばした。
(〝掴まって〟って事だよね?)
私を気にしてくれるんだ、嬉しい。やっぱり咲人さん優しいな――もちろん、これも「思い出メモ」に即追加。
「それでは、失礼しまし……た?」
部屋の前でお辞儀をした時。自分の服に、見慣れない「痕」があることに気付く。
さっきまで咲人さんが触れていたワンピースに、赤い斑点がついていた。まさか咲人さん、ケガしてる?
「あの……手を、見せてもらえませんか?」
「え?」
「ダメ、ですか……?」
シュンと肩を落とすと、咲人さんは困ったように。私から視線を逸らし、逃げるように窓へ目をやった。
起きた時の爽やかな朝日から一変。今は熱を感じるほど太陽がギラついている。降り注ぐ日光に、次第に肌も汗ばむ。
「……手当、お願いできる?」
(していいんだ!)