「!」
物思いに耽っていると、また咲人さんの手がピクリと動いた。合わせて、私の意識が急速に戻る。
いけない。考えに没頭してた。
(今は、目の前の咲人さんに集中しなきゃ……〝目の前〟っていうか、〝真横〟に寝転がっているけど)
ココを出て行けと言われているのに、いつまでも寝転がって天井を眺めていたんじゃ……また失望されちゃう。
もっと好感度が下がるのは嫌なので、起き上がるために力を入れる。まずは腕、背中、お腹、足。床に打ち付けられたせいで、どこもかしこもミシミシ唸る。
「えっと……お、お邪魔しました」
「……うん」
「……」
(〝うん〟!?)
もしかして咲人さん、この状況に動揺してる?
私と一緒にいるのが、そうとう気まずい?
だって〝うん〟だよ?
いつも塩対応の咲人さんが、〝うん〟って!
(レアすぎるよ。心にLecさせて下さい……っ)