飛鷹さんに放り投げられた私を、見事キャッチした咲人さん。キレイなスライディングで私を受け止めた後。


「……」


何を言うでもなく、ただただ天井を見ていた。


(何を考えているんだろう)


飛行機雲のように真っ直ぐな視線。何を見つめているんだろう。未来、とか?


(咲人さんの想像する未来。そこに私はいるのかな?……なわけないか)


だけど咲人さんは時おり、私に回した手に力をこめる。まるで私の存在を確認しているようにも思えるし、「ここにいて」と言っているようにも思える。

優しい力が加わる度、少しだけ困惑する。
まだ私、ここに居てもいいのかな?って。


(なーんて。希望的観測だよね。分かってますよー、ココにいるのが良くないって事くらい)


だけど不思議なのは……咲人さんが「どうして私を拒絶しないのか」って事。隣同士で寝転がって、もう数分が経つ。


『餞別だよ』


あんな事を言うほどの人だから、すぐにでも「シッシッ」って。私を追い払ってもおかしくないのに。