米俵のように私を担ぎ上げ、サウナ状態だった部屋のドアを足で蹴り開けた。ガキンと変な音がしたのは……この際、聞かなかった事にする。
「ちょ、どこに行くんですか!降ろしてください、離して!」
「キャンキャン騒ぐなって。アンタ、ネコだろー?」
「きゃう!?」
私のお尻をペシンと叩きながら、飛鷹さんは新たなドアへ向き直る。
そこは、咲人さんがいる部屋。
「え、えぇ?ちょっと飛鷹さん!」
「……」
飛鷹さんは肩に乗せた私をずらし、お姫様抱っこをする。
すると過去最高に優しく笑う飛鷹さんが、視界いっぱいに広がった。
「アンタがネコなら、吠えるんじゃなくて。
すっげぇ嬉しそうにさ、
幸せな顔でニャーニャー鳴けよ」