それは、まさかの質問。
飛鷹さんから、そんな事を聞かれるなんて。
いつもの冗談?
……ううん、顔を見れば分かる。
飛鷹さんは本当に、私の答えを知りたいんだって。
「……分かりました」
最後の時、私だったら――と想像する。
ココを出る時、咲人さんがいたら。
どんな顔して、何て言ってもらいたい?
――ミミ、〝 〟
そんなの、決まっている。
「……たい」
「ん?」
聞きとりずらかったのか、飛鷹さんが私の顔に耳を近づける。柔らかな髪が、ふわりと鼻に当たった。思えば咲人さんも、こんな風に柔らかな髪だ。
「咲人さんとお別れする時。咲人さんの笑った顔を、最後に見たいです」
「!」
あの柔らかな髪を揺らしながら、口角を上げて、優しい声音で笑ってくれたら。どんなに私は幸せだろう。