飛鷹さん、何を言ってるの?
どうして私の〝咲人さんへの想い〟を消そうとするの?
「私が咲人さんを好きなのが、そんなに気に食わないですか?
でも飛鷹さんは、私を好きじゃないですよね?それなのに、どうして私の片想いを邪魔するんですか?」
「……直(じき)にわかるぜ。だから答えねぇ」
っつー事で、と。
飛鷹さんは私に口づけした。
少し厚みのある唇が、無遠慮に押し付けられる。
「今はただ流されろ。その方がアンタのためだ」
「飛鷹、さ……んんっ」
「口、開けな」
素直に応じる私じゃないと最初から踏んでいたのか。飛鷹さんは私の鼻をつまみ、呼吸の通り道を失くした。
為す術なく口を開けて酸素を吸い込むと、待ってましたと言わんばかりに飛鷹さんが近づく。
「っ!」
深いのが来る――警戒し、全身に力が入った。
だけど、目をぱちくりさせた飛鷹さんの動きが止まる。何かに驚いてる?
「なんかミミちゃん、文鎮みてぇだな」
(ぶん、ちん……?)