いきなり大きい音が部屋に響く。この部屋からじゃない、別の場所からだ。

何か落ちた音?
それにしては大きくハッキリ聞こえた。

ハテナが浮かぶ私に跨ったまま、飛鷹さんは横を向いた。この部屋の隣は、咲人さんの部屋。


「……ふーん」


冷たい声色とは反対に、飛鷹さんの口角が上がる。楽しそうな笑みだ。


「やっぱ諦めの悪い男だね〜。ミミちゃんも、そう思わない?」

「え、なに……やだっ」


飛鷹さんはルンルン気分のまま私の肩へ手をやり、ワンピースをズリ下げる。あっけなく露わになった私の肩に、ぬるくも冷たい温度がぶつかった。


「……悪く思うなよ。俺はな、アンタの中にいるアイツを消さないといけねーんだわ」

「け、す……?」


私の首筋に一つ、また一つとキスを落とす飛鷹さん。キスの合間を縫って、器用に喋っている。


「消す=殺すってワケじゃねーよ?アイツを好きでいるのをやめさせたい、って事。

でも、いくら俺が〝好き〟って言っても効果ねーじゃん?だから体でも重ねれば、ミミちゃんの心も動くかなーって」

「どういう、事ですか……?」