ワンピースの裾を上げようと、飛鷹さんが手に力を込めた時。どうしようもなく胸が張り裂けそうになった。か細い涙が、目から零れていく。


「うぅ……、やだ。嫌だよ、咲人さん……っ」

「こんな時までアイツかよ?健気だねぇ」


飛鷹さんは本気だ。
本気で私を抱こうとしてる。

なんで気づかなかったんだろう。もっと早く気づいていれば、もしかしたら逃げられたかもしれないのに。

荒く呼吸をする私とは反対に、飛鷹さんの涼しそうな顔。


(これからこの人は、涼しい顔のまま私を抱くんだ)


私の意志なんて、関係なく――


「腹はくくれたかよ、ミミちゃん?」

「くく、れるわけ、っ」

「……あっそ。じゃ、脱がすわ」

「~っ、やだ!」


口では「嫌」と言うけど、手足はビクとも動かない。ううん、多少は動くけど、飛鷹さんを押しのけるほど可動域の広さはない。


(飛鷹さんの本気を前に、男の人の力を前に……何も出来ない)