栗毛の咲人さんとは正反対の黒い髪。わずかに吊り上がった瞳。常に妖しく上がっている口角。

黒のサスペンダーが、ガタイのイイ体を縛るようにキツく止めてある。そのくせ黒いパンツはやや緩くて、ぴっちりした上半身とは対照的。


(サスペンダーって、ちょっと幼いアイテムだと思ってたけど……)


手足が長いこの人が着ると、外国人のようでサマになってる。今は座ってるから分からないけど、きっと背も高いんだろうな。


(ん?あれは傷?)


顔の至る所が汚れている。砂いじりした後のような、ザラザラした痕跡。

目を細めてジッと見る。すると汚れを「血」だと判断するのに、時間はかからなかった。なぜなら、白いシャツに、鮮血が落ちていたから。至るところに、点々と。


「どこか、ケガを……?」

「へぇ俺の心配してくれんの?かっわいー」


また、ペロリ。完全に食われる前提で会話が進んでいて、頭はパニック寸前。