「……っ」

「お、ちょっとは動揺してくれた?ここでノーリアクションだったら、さすがに泣いてたわ」


良かった―、と食後のデザートに手を伸ばす飛鷹さん。といっても目ぼしいものは見つからなかったのか、ため息をこぼす。私の方を、憂い気に見ながら。


「ってわけで、今日限りの仲な俺たちだけど。

心境の変化はあった?」

「!」


……そっか、なるほど。そういう事。

飛鷹さんが何を言いたいのか、やっと分かった。


「情けをかけろと……そういうことですか」

「ポンピーン。明日で死んじゃう俺の願い、ミミちゃんなら聞いてくれるっしょ?」


ニタリと笑う飛鷹さんが、スッと真顔に戻る。


「俺を好きになって」

「!」


頬に手を添えられる。
今まで以上に、優しく、丁寧に。

こんな飛鷹さんを、私は知らない。


「俺は、ミミちゃんのこと好きだぜ?
ミミちゃんは違うの?」


真っすぐ私を見つめる瞳。
そこに覚えるのは、既視感。


(あぁ、この目は――)


もう視線は逸らせない。