「でも、どうせだしね。飛鷹さんと朝ごはん食べよう」


いくつかのパンを手にして、キッチンを後にする。

だけど飛鷹さんの部屋へ向かう際、廊下の壁に〝新たな傷〟を発見した。

男の人がぶつかったような形で凹んでいたり、拳の形に沿って穴が開いていたりと、なかなか激しい。

……え、まさか。


「単独じゃなくて、ついに集団ゴキが襲来したのかな……⁉」


身の毛もよだつ思いに、シャキンと鳥肌が立つ。うわぁ、思わず想像しちゃった!

すると、なかなか来ない私に痺れを切らした飛鷹さん。拘束具のついていない手を部屋から出し、私の腕を掴んだ。


「はい、捕獲。
いただきまーす」

「……へ、えぇ!?」


バタン。私を部屋に引きずり込んだ後。飛鷹さんは冷気が遮断されるのを承知で、部屋の扉をピッタリ閉める。

まるで〝これから部屋で起こる事〟を、咲人さんに秘密にするように――