「……」


しかも咲人さんとお別れしようとする、このタイミングで思い出すなんて。

何かの前兆?
虫の知らせ?


「私の気にしすぎ、だったらいいんだけど……」


その時、咲人さんが自室へ入ったのが見えた。どうやら今日は、お休みの日らしい。


(お出かけに誘ってみようかな。ココを去るために必要な物を買いに行きます、って言ったら、渋々でもついてきてくれるかも。あ、でも疲れてるか。目の下にクマ出来てたもんね)


すると奥の部屋から「腹減ったー」と間延びした声が聞こえる。飛鷹さんだ。


「ミミちゃ~ん、食べモン持ってきてー」

「……」


自由に動けるはずなのに、咲人さんがいるからか大人しい。昨日あれだけ堂々と動いたんだから、今さら取り繕っても遅いのに……。