「……ぷっ、ミミってバカ」

「へ?」

「もっと俺を恐れないと。今の俺、不機嫌で怖いでしょ?それなのに、どうして〝抱きしめて〟って思っちゃうのか不思議。普通の女だったら、この状況で俺の上半身に見惚れる余裕ないよ?」

「それは……」


そうかもしれない。現に、さっきまで私も震えあがっていたし。咲人さんの機嫌が早く直らないかな?って思っていたし。

でもシックスパックが大胆に差し出されたら、拝まずにはいられない。据え膳食わぬは男の恥、なんて言葉があるように。

出されたら、そりゃ見るよ。
我慢は体によくないもん!


「第一、私は咲人さんが大好きですから!好きな人の事なら、どんな状況下でも観察したいんですッ」

「……ふーん。観察、ね」

(あ、また笑ってくれた)


さっきまであんなに不機嫌オーラ満載だったのに。さっきは吹き出してくれたし、今はニヤッて笑ってくれた。

ちょっとちょっと、幸先いいんじゃないの?今から甘いトークに発展して、またキスが出来たりして!