「テレビ……見ませんか?」

「……」

「えっと……勝手につけますね」


気まずいなら、サッサと食べて出て行けばいい。それなのにテレビという小道具を使ってでも、咲人さんと一緒にいようとする。極めて、安直で愚行。


(それでも……ごめんなさい、咲人さん)


足が動かないってことは、まだ私は「ココにいたい」って事だろうから。「咲人さんと一緒にいる時間を大切にしたい」って事だろうから。

だから、もう少しだけココにいさせて下さい。
私の足が前へ動き出す、その時まで――


すると咲人さんがピクリと反応した。見つめた先は、全国ニュースが流れているテレビ。


≪次のニュースです。連日つづく、失踪及び死亡事件について――≫


(え……)


こんな物騒な事件に、どうして咲人さんが反応したんだろう。