*飛鷹 周*



いい嬌声が聞こえたと思ったら、今度はメソメソと暗い泣き声。あーあ、また泣かされてやんの。

バタンと音がする方に目をやれば、部屋から出てきたのは大鳳咲人。一人だけ。


「なーなー、オイ」

「……」


廊下に佇む俺をスルーしようとしたから、面倒だけど呼び止めた。だってフラフラした脳に、そろそろ釘を打たないといけねーし?


「愛猫のため一心不乱にメシを買ってくるのは良いけどさー。金魚のフンまで連れて来ちゃダメだろ?こっちは骨が折れたぜ。見ろよ、この頬の傷」


トントンと、己の頬を叩けば。
返って来たのは、意外な一撃。


「食らったのは、お前が未熟だからだろ」

「は?」


断じてちげーよ。
暴れたミミちゃんを守るためだっての。