「準備できた?」
「えと、あの……はぃ」
「なんで赤くなったの」
「その、私には刺激が強すぎて……っ」
鍛えられた咲人さんの体は、本当に美しくて。均等に並んだシックスパックや、盛り上がった筋肉。所々に浮き出た血管――全てが眼福。
「い、一回だけでいいから抱きしめてほしいって言ったら怒るかな……っ」
「……」
「あ」
心の声、まるっとオープン。
一気に興奮が訪れると私の脳内は正常に働かず、こういう逆転現象を起こしてしまう。前の時は確か、お風呂あがりの色気に耐えられなくて「オアシス!」って言っちゃったんだっけ。
あの時は、真顔でスルーされた。きっと今もそう。私を蔑む目で見るか、全くの無反応か。そのどちらかだろうな――って。
そう思っていたのに。