ツライ、悲しい――負の感情が、私の足元を押さえつける。背中に乗って、私を押しつぶそうとする。今の私なら、簡単につぶされちゃいそう。


「私って……咲人さんにとって何なんだろう」


ただの飼い猫?ペット?それ以下?……いや、もうどれでもいい。それよりも。

私が今、一番に聞きたいのは――


「咲人さんを諦めたら、私って幸せになれるのかなぁ……?」


咲人さんのいない人生が、ちょっとだけ頭をかすめた。本当に、ちょっとだけ。だけど、すぐかき消される。

咲人さんを好きな私と、私を守ろうとする私が睨み合っている。

これは防衛本能だ。これ以上に悲しんで自分が壊れないようするための、私からのシグナルだ。


「う……っ、うぅ」


泣き声の裏側で、声が聞こえる。
ひっそりと、私に囁いている。


もう咲人さんの事なんて諦めちゃおうよ――って。