これを一体いつまで繰り返すんだろう。
どうして私は、抜け出せないのかな。

……そんなの決まってる。

好きだからだ。咲人さんの事が、どうしようもなく好きだからだ。


「血が、出てる……」


噛まれた場所に指を添えると、血がまだらに付着した。

噛むほど嫌だったんだ。
私のこと……。


「好き、だけど……こればっかりも、なぁ……っ」


ポロポロ溢れる涙は、絶対に止まりそうにない。

咲人さんはシャワーに行くって言っていた。それなら……この際だから、大きな声で泣いちゃおう。咲人さんが戻って来るまでに、涙を止めなきゃいけないもんね。

いっぱい泣いて、また笑顔で出迎えよう。それが私に出来る、唯一のことだから。


『だからココを出て行っても、生きていけるね』


「……違う。違うんですよ、咲人さんっ」