「これは、違くて。同意の上じゃなくて……」

「……」

「そうじゃなくて……違いますから！」


最悪の形で見られてしまった。いつもそうだ。咲人さんと良い雰囲気になったら、まるで邪魔するかのように飛鷹さんが私たちの脳裏をかすめる。

あらかじめ、そう設定されているかのように。私たちがくっつかないよう、プログラミングされているみたいに。


「違うんです、信じて……っ」


他の人のキスマークをつけておいて、何を言ってるんだって感じだよね。こんなの誠実じゃない。分かってる、私の落ち度だ。

だからこそ、信じてもらうしかない。こんな状況でも「私が好きなのはあなただけ」って、信じてもらうしかない。

だから「違う」と繰り返した。何度も、何度も何度も。


「信じて、咲人さん……っ」

「……」


スッと。自分の太ももから私を降ろす咲人さん。キス続行でもなく、抱きしめられるわけでもなく――距離をとられた。


（やだ、うそ……拒否された？）