「咲人さん、私……ココにいたい。ずっとあなたの隣にいたいです」

「……」

「好きなんです、あなたが……大好きなの」


抱き着いて、ポロポロ涙を流して。咲人さんの服に沁みついた、彼の匂いを嗅ぎ取った。

鼻孔をくすぐるのは、硝煙の香り。やっぱり咲人さんは裏社会の人で、危ない人で、私と釣り合う人じゃない。

でも、それでも私は――


(どんな香りでもいい。女性の香水とかじゃなければ、あとはなんでもいい)


咲人さんが何をしているかなんて気にならない、怖くもない。だって咲人さんが好きだから。だから咲人さんから香る物騒な匂いだって、私は好きになれる。


「好きです、咲人さん……っ」

「……もう聞き飽きた」

「キス、してもいいですか?」

「それも……もう聞き飽きたよ」


言いながら、傍にあったベッドに腰をかけ、瞳を閉じる咲人さん。もちろん、私は咲人さんの太ももにまたがる。