「聞かせたいなら別だけど」と、私のパジャマの裾に手を伸ばす咲人さん。


「っ!だ、め……っ」


アイツって、飛鷹さんの事だよね?
飛鷹さんって耳が良いんだ、知らなかった。

それなら声を抑えなきゃ。
聞かれたくないし、聞いてほしくない。

だって――


「私の、こんな声、は……咲人さん、だけっ」

「!」


涙を流しながら、バカなことを言っちゃう私を見て。咲人さんは眉間にシワを寄せた後、ギュッと瞼を閉じた。

そして再び視線が絡んだ時。咲人さんは切なく笑う。


「……本当、バカな子」

「~っ」


紡がれる言葉が、どこか弱々しくて。まるでボロボロに傷ついてる人みたいで。

何とかしてあげたいって、咲人さんの背中に手を回した。それは、ほぼ無意識のこと。