こんな風に気分が上がらないのは、寝起きだからかな。それとも……久々に、あの冷たい瞳を向けられたから?

何にしろ。今、咲人さんの機嫌がよくないのは明らかだ。


(咲人さんの機嫌、早く直るといいなぁ……)


寝室にある咲人さんの衣装ケースの中に、私の服も一緒に入れさせてもらっている。

と言っても、制服と、白いワンピースだけ。私のアパートに戻れば服はあるんだけど、この家にいる限り外に出る事はないから、ワンピース一枚で充分。あと、いま着ているパジャマ。


(身なりを整えるって、軽くお化粧したらいいのかな。すっぴんじゃダメだよね。でも待たせるのも悪いし)


言葉にはしないけど、頭の中はフル回転。どうすれば咲人さんを怒らせないか――思考を重ねに重ねる。

そうこうしている内に。

私と同じく着替えたらしい咲人さんが、開けたままのドアをノックした。「着替えた」というよりは「脱いだだけ」と言った方が正しい。

だって咲人さん、上半身裸なんだもん。