飛鷹さんが言うには、ゴキブリから私を守るため、なんだけど。果たして、咲人さんが信じるかどうか。

「飛鷹さんに拘束具をつけられました」て言ってみようか?……うーん。飛鷹さんが「悪い人」みたいに聞こえそうで、迂闊に言えない。一応、ゴキブリから守ってくれた恩人だし。


だけど悩む私を、飛鷹さんは許さなかった。「ミミ」と。私の両手を、片手一つでまとめてみせる。

まるで〝どこにも逃がさない〟と言わんばかりに。


「俺に言えないの?」

「えっと、そうじゃなくて」

「わかった。体に聞こうね」

「え、ちょ……ひゃぁッ」


手首に口づけされるも、あまりの唇の冷たさにビックリ。

だけど驚きで発した声は、咲人さんのキスによりくぐもった。言葉も唇も、全部ぜんぶ咲人さんに飲み込まれる。