「赤い。なんで?」
「これは、その……」
「拘束具の痕だね。誰につけられた?」
「っ!」
私に向けられるのは、冷たい目。でも瞳の奥に、一ミリでも私を心配する〝情〟があるんじゃないかって。そんな淡い期待を抱いちゃう。
だって咲人さん、どこか余裕なさそうなんだもん。私にケガがないか、必死に体を見てくれるんだもん。
(さっきの飛鷹さんが言った通り、絶景だ)
『ちょっとした勇気で、案外簡単に絶景が見られるもんだぜ?』
(家を出ずに、勇気を出して残って良かった。それに、この過保護感……たまんない。嬉しさが爆発しそう)
眉間に寄ってるこのシワも、私を思って出来たシワだと思ったら……全然怖くない。むしろ愛しいほど。
(咲人さんの中にある〝情〟が、愛情じゃなく同情でも死ぬほど嬉しい。咲人さんからもらえるなら、どんな情だって喜んじゃうよ)
ゾクゾクが全身を駆け巡る。
咲人さん中毒、無事に発症。
頭がぽややんとのぼせる中、真剣な顔の咲人さんが尋ねた。
「アイツ?」
「え……」
「この赤い痕。原因は飛鷹?」
「えぇっと……」