廊下をズンズン進み、そのまま咲人さんの部屋に入る。もちろん二人一緒に。
「あの咲人さん、飛鷹さんが――わ!」
自由に動き回ってますよ?逃げちゃいますよ?って最後まで言えなかった。
なぜなら部屋に入った後、咲人さんが私を抱きしめたから。
「……」
「咲人、さん……?」
咲人さんに抱きしめられてる。
これは夢?それとも、現実?
「……ミミ、ケガは?」
「え、ケガ?ケガなんてどこにもナイですよ?」
と言いつつ、起きた時から両手首が痛むことを思い出す。
手首の周りを、グルリと囲む赤い線。きっと拘束具のせいだ。アレをつけてから、かなり暴れちゃったもん。
苦い顔をしていると、咲人さんに核心を突かれる。「ココ?」と。まるでお姫様にするみたいに、咲人さんが私の手を滑らかにすくった。