『ミミは〝血が苦手〟なんだから』


咲人さん、まだ覚えててくれたんだ。
私の癖、覚えててくれたんだ。

まだ出て行ってないの?って怒るんじゃなくて、私のことを気遣ってくれるんだ。


(なにそれ嬉しい、幸せ過ぎる……っ)


私を見て咄嗟の動作がソレって、私の事を思ってないと出来ないことだよね?……まさか咲人さん。口では辛辣な事を言ったけど、本当は私のことを、


「廊下に立たれると邪魔だよ」

「ごめん、なさい……」


はい、完敗。

冷ややかな視線から、私のことを何とも思っていない様子がありありと読み取れる。


(あ~。脳内お花畑なの、何とかしなきゃ)


なに期待してるんだろう。「困る」って言われたばかりなのに。私ったら、まだ「あわよくば」を期待してる。