確かに、簡単に出来ることじゃない。もし私なら飛び回るゴキ相手に、飛鷹さんを置いて逃げるだろうし。
飛鷹さんのやり方は乱暴だったけど、守ってくれたことには変わりないよね。要求されるのも仕方ない。
でも何がご褒美になるんだろう?
食べ物くらいしか思いつかないや。
考え込む私に「そー深刻な顔すんなって。すぐ終わるし」と飛鷹さん。ニヒルな笑みを浮かべて私に近づいた。何をするのかと思いきや、
「はい、烙印」
「痛⁉」
ヂュッと音が聞こえた後。鎖骨の上あたりに、飛鷹さんのソレがつけられた。ちょっと痛そうな内出血の痕。
これは……キスマーク⁉
「ちょ、なんでココに⁉目立つじゃないですか!」
「服でちょちょいと隠しときゃ問題ねーって。おー、良い感じについてんじゃん。さすが俺」
「自画自賛しないでくださいよ、もし咲人さんに見られたら――!」
と考えたところで。
私の事を何とも思っていない咲人さんに、他の人からつけられたキスマを見られたところで、何も問題ない事に気付く。あぁ、語るに落ちる……。