「でも抱きしめたりキスしたり……む、無茶苦茶ですよ!」


キッと睨みを利かせると、飛鷹さんは「全部アンタのためだったんだけどなぁ」と壁に寄りかかり、腕を組む。

へ?私のため?


「アンタを守ろうとしただけなのに。アレを見せないように、ってさぁ。アレの片付けまでしたんだぜ?」

「何の話ですか?アレって……」

「正直に言うけど、ミミちゃんは好きなわけ?

ゴキブリ」

「ご……!!」


好きなわけない!

実家では至る所に出没して、何度も悲鳴を上げてきた。でもココが新築のおかげか、全く姿を見ない日々。

うそ……。
出たの……⁉


「完璧に油断してました、まさかココにいるなんて……!」

「しかも好戦的なヤツでさー。ブンブン飛んでくるんだぜ?だから必死に守ってやったのに、ミミちゃんったら何を勘違いしたんだか」


フッと目で笑われ、思わず顔が赤くなる。まさかそんな事情があったとは……。

私の体に触れたことを謝ってもらおうと思ったのに、これじゃ責めるに責められない。