家主をしっかり呪い殺すことができていれば、この家に定住できたかもしれないのに。
「パパァ。あのお家には幽霊がいたの?」

家族旅行中に死んだことに気がついていないカナが聞く。
「そうだね」
「どうして私達ばかりが……」

自分が幽霊になり、人間も物音を聞いて怯えているのだと気が付かない妻がつぶやく。
俺はそんなふたりの手を握りしめた。
「大丈夫。次こそはきっと、いい家が見つかるから」

俺の家族は俺が守る。
そう心に決めて歩き出したのだった。

END