「リリー様」
くるりと莉里子のほうに向き直ったレオ様を見て、莉里子は咄嗟に『叱られる』と身構えた。
「なっ、なんですか? レオ様」
びびりながら言うと、
「ありがとうございました」
レオ様は深々と頭を下げた。
てっきり叱られると思ったが、レオ様は例の笑顔を浮かべている。
「まさか、こんなに早く呪いが解けるとは思っていなかった。リリー様には感謝してもしきれません」
「私も信じられません」
莉里子は、自分が人の役に立ったということに感動しつつ、もう自分は用済みなのだと思うと寂しくなる。
「殿下とオディールのことは、なるようになると思うことにします。それに、魔王と一人で対峙されるまでになられた殿下のご成長、素直に嬉しく思っています」
そんなことを言いながら、レオ様は莉里子に近づいてきた。
「好きです、初めて会った時から。殿下や我々のことを心配してくださるあなたを間近に見ていると、どんどん惹かれていく気持ちが抑えられなかった」
次の瞬間、莉里子はレオ様に抱きしめられていた。