「だれ?」
 思わず呟く莉里子。
 ランスが別人級に変化を遂げている。

 レオ様がその場に崩れ落ちた。
 「殿下! 元通りにございます……元通りのお姿に」
 彼は、感極まったように泣いている。

「えー? これがランス?」
 莉里子は困惑する。
 何故なら、目の前にいるのは美青年、いや美少年と言ったほうが相応しいような人物だったからだ。

「ちょっと整理しないと。私は肝心なことを確認するのを忘れてた」

 初めて会った時が超高齢のお爺さんだったし、魔王の娘との結婚話もあったしで、自分は勘違いしていたようだ。

「ランスは、そもそも何歳なの?」
「殿下は御歳(おんとし)18歳にございます」

 レオ様が重々しく言うのに、莉里子は口をあんぐりさせた。

 大丈夫よね?
 18歳ならギリ、淫行にならないよね?
 焦った莉里子は異世界にいるのも忘れて、自分が逮捕されないか心配になる。

 それにしても、伏し目がちに微笑んでいるランスの美しさ、清らかさといったら!
 細面で少し垂れ目、色白の彼はまさに “プリンスチャーミング(おとぎ話の王子様)” である。