「ランス?!」
「なに? リリー!」
「あなた、素敵ね!」
ランスがきょとんとしているので、莉里子はテーブルの上の手鏡をグッと彼の顔に近づけた。

「リリー、余は老眼とやらで近くのものは見えないんだよ。あっ? ……見える」
ランスが驚いたように黙り込んだ。
ランスは、シワも魅力の渋いイケオジに変化している。

「で、殿下」
レオ様が感激の面持ちで、ランスに近寄った。
「国王陛下そっくりでございます」

「国王陛下? あ、ランスのお父様?」
「はい、今は病に伏せっておられますが、殿下のお姿を見たら、よくなられるやもしれません」

国王陛下も御病気なのか! 早く、ランスを元通りにしてあげないと。
しかし、愛情メーターは急激に上がるというものではないだろう。

どうしよう、新事実に焦ってしまう。一刻も早く呪いを解きたい。
そんな思いが、莉里子の頭の中でずっと堂々巡りしていた。

「あっあっあっ」
ランスが奇妙な声を上げた。

その場にいた全員、莉里子もレオ様も、召使いたちもランスに注目した。
「ランスロット様!」