「ランス?」
「ううん、なんでもない。さあ、食事にしよう」
 そう言うランスは、まだしわだらけだが、昨日より顔の色艶も良くなっている気がする。

 朝食は、昨日同様、豪華だった。
 ポーチドエッグ、フライドエッグ、スクランブルエッグ、と朝食向け卵料理が並んでおり、パンも白パン、クロワッサン、ベーグルなど定番のものがずらり。

「ホテルの朝食バイキングね」
 莉里子は食べ始めたが、こんな生活を続けていたら、贅沢に慣れきってしまって、現実に帰りたくなくなりそうだ。
 太りそうだし。

 そう思いながら、またもや勢いよく食べてしまう自分の節制のなさよ……。
 朝からデザートのフルーツまでお代わりして、満足しきったところに、ランスが声を掛けてきた。

「リリーは、城の食事がお気に召したようだね、嬉しいよ」
「食べっぷりに惚れ惚れします」
 レオ様まで、真面目な顔で言ってくる。

 莉里子は赤くなった。
 子供の頃から食いしん坊と言われてきたが、それは褒め言葉ではなかった。

 しかし、今、異世界でパクパク食べる彼女を上機嫌で眺めているイケメン二人に、莉里子は嬉しくなってしまう。
 イケメン二人?