「リリー様の愛情の分だけ、殿下は若返っていくということか」
 レオ様は、よろよろとダイニングテーブルの椅子のひとつに腰掛けた。

「そうか、良かった。これこそが我々の望んでいたこと。聖女リリー様は、ランス殿下のことを愛しく思われている、ということなのだな」

「大丈夫? しっかりして。あんたの気持ちもわかるけど、今のところ上手く行きそうなんだからね、邪魔すんなよ」
 セレスティアが、レオ様の背中をどやしつける。

「俺は邪魔なんかしてねえし!」
 レオ様の口の利き方が、急に乱暴になった。

「そうお? さっきからずっと見てたけど、いちいちあんた、ウザいわよ。聖女様にこれ以上、自分のことアピールすんなよ」
 セレスティアも容赦ない。

「さっきから見てた? 盗み見してたのか?」
「心配だからよ。……失礼しました、王子様、リリー様。この調子で頑張ってね」

 セレスティアは、胸の前で両手でガッツポーズを作ると、その後パッと消えていった。