裕大はすぐに戻ってきた。

「美羽ちゃん。今、消防士さん達を呼んだからね。ここにいるのも危ないから、外に行こう・・・」

裕大は、美羽をおぶって階段を下りた・・・

「ゆうにぃ・・・??おとーさんたちは??」
「大丈夫。きっとまた会えるよ・・・きっと・・・」

その時の裕兄ぃの声は、弱々しくかすれた声だった・・・
私達は外に出ると、消防を待つために広い道路に立っていた・・・
私は、うとうとしつつも裕兄ぃの背中にしがみついていた・・・

「美羽ちゃん、眠たかったら寝てていいよ・・・」
「だいじょうぶ・・・」
「お・・・!!来た来た・・・こっちでーす!!!!」

裕兄ぃが大きく手を振ると、消防の人たちが気付いたようだ・・・
裕兄ぃは、私の家まで消防車を案内した・・・
消防士たちはすぐに私たちの家の火を消しにはいった・・・

「ねぇ。ゆうにぃ!?おうちは??おうちは??どうなっちゃうの??」

私は、裕兄ぃに一生懸命聞いた。
しかし裕兄ぃは

「美羽ちゃん・・・」

とだけ言い、悲しみの表情を私に向けてきた・・・
その顔は、私は今でも忘れられない・・・
忘れる事は出来ない・・・
裕兄ぃのその顔を見てから、私は黙り込んでしまった・・・
あまりにも裕兄ぃの顔がとても悲しすぎたから・・・

私はその日、家族を・・・





なくした。